平均年収からみる転職戦略とは
平成30年データでの日本の平均年収は441万円で、年収UPを狙う転職をするためには必ず抑えておかなければいけない数字が441万円です。というのも、市場の平均値も把握していない状態で、自分の適正価格を求めるのには無理が生じます。自分の年収が平均年収よりも少ないのか、多いのか、平均年収近辺なのか、それぞれのポジションによって転職戦略が変わってくるからです。
年収が平均年収より下の場合
正直転職により年収をあげるのは簡単だと思います。ただし、なぜ現状で年収が低いのかは理論立てて説明できるようにしておく必要があります。転職先の面接官にとって、年収が低い人はそれなりの問題があるのではないのか?と勘ぐってしまうからです。業務遂行能力の無さや、そもそも生活行動に問題がある可能性を疑われるとまず採用は難しいです。逆に言うとその点だけ注意して、そうでないことを理論立てて説明できれば、必ずと言っていいほど転職により年収はあがります。このステージの人は上記2点だけ注意しておけば、とくに戦略なんて必要ないので今すぐ転職活動を実施しましょう。
平均年収近辺の場合
このステージの場合は、年収UPを勝ち取るには一工夫が必要です。例えば、課長職やマネージャ職をやっているなど、責任ある仕事をしているのに現職では平均年収程度しからもらっていない。。と言った感じのアプローチです。平均年収程度では今のロールに見合っていないという切り口です。
ただしこれを採用面接の場で直接声に出すのはNGです。ただの会社の愚痴をいっているだけのような印象を受けるし、なによりもやり方が美しくありません。ようするに、直接表現ではなくて、面接官に悟らせるテクニックが求められます。
「私は部長職をやっているので。。。云々」NGパターン
「私は若手の技術育成を重視した部の運営方針を策定しました。」OKパターン
NGパターンは俺は部長なんだって言っちゃってます。やはりかっこ悪いですね。面接官からすれば、部長職になって何をしたのでしょう?となってしまいます。もちろん課長でも係長でも同じことです。役職そのものに価値があるのではなくて、その役職を手に入れて何をしたのか、どんなことが出来るのかを知りたいのです。
OKパターンの場合、俺は部長なんだぞと、直接表現はしていませんが、さりげなく部の運営方針を策定出来る事をアピールしています。もちろんこんなことが出来るのは部長のみなので、直接表現でなくても面接官に悟らせることが出来る訳です。
しっかりと管理職アピールをした後で、さらなる年収アップを求めると面接官も納得できるわけです。
平均年収よりも高い場合
すでに平均年収よりも高い年収の場合、さらなる年収を高めるためには、現在保有しているスキルに完全マッチする会社を見つけることが重要になります。
・プロジェクトを0から立ち上げて軌道に乗せる経験
・若手を1年間で、現場リーダーに育て上げる育成術
・RPAを活用した運用経費削減のスペシャリスト
など、どんなジャンルでもよいので、他者に負けない「ダントツ」を築くのです。ちなみに「ダントツ」は、領域が狭ければ狭いほど、ニッチであればニッチであるほど、「ダントツ」は生まれやすくなります。その反面、市場で見つけてもらいにくくなります。要するにニッチ過ぎると転職先を見つけられない(見つけてもらえない)のです。
そんなとき有効活用できるのが、転職エージェントの活用、またはハイクラス転職サイトの活用です。(別途記事参照)
世代ごとのサラリーマン平均年収?
サラリーマンの平均年収は441万円だと言いましたが、転職の際の年収交渉の場では、この441万円はあまり意味がありません。というのも、本当に重要視すべきは世代ごとの平均年収だからです。20代前半で社会人3年目のサラリーマンが441万円を大きく下回っているからといって落ち込む必要はなくて、世代ごとに確認する必要がある訳です。20代前半だと267万円が平均年収なんですね。20代前半のほとんどの人が年収300万円に届いていないわけです。平均年収441万円とは開きがあるようにも見えますが、そもそもサラリーマン平均年収は43.2歳なので、比較対象として間違っています。せめて世代ごと5年区切り位の枠の中で比較する必要があります。
年齢 | 男性 | 女性 | 計 |
10代 | 162万 | 114万 | 137万 |
20代前半 | 284万 | 249万 | 267万 |
20代後半 | 404万 | 326万 | 370万 |
30代前半 | 470万 | 315万 | 410万 |
30代後半 | 528万 | 314万 | 448万 |
40代前半 | 581万 | 319万 | 476万 |
40代後半 | 635万 | 313万 | 502万 |
50代前半 | 682万 | 322万 | 529万 |
50代後半 | 686万 | 298万 | 520万 |
60代前半 | 537万 | 242万 | 416万 |
60代後半 | 410万 | 211万 | 382万 |
70代以上 | 545万 | 293万 | 441万 |
ITエンジニアの平均年収は?
ITエンジニアといっても、ITコンサルやプロジェクトマネージャーやプログラマなど幅広いので今回は一番オーソドックスなシステムエンジニアの平均年収と比較することにします。
システムエンジニアの平均年収は597.9万円、プログラマー(PG)の平均年収は431万円なので、プログラマーが日本の平均年収に近いといえますね。システムエンジニアは上位職種にあたるので、給与は比較的に高い水準だと思います。
年齢も38.4歳と、サラリーマン平均より5歳も若く、若くして高収入を手にしやすい職種だと言えます。
参考までに、他業種のも掲載してます。(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より)
職業 | 平均年齢 | 年収 | 職業 | 平均年齢 | 年収 |
公認会計士/税理士 | 38.1 | 817 | 電気工 | 41 | 426 |
一級建築士 | 49 | 677 | 自動車整備工 | 35.5 | 418 |
歯科医師 | 33.8 | 620 | 機械組立工 | 39.4 | 412 |
SE | 38.4 | 597.9 | デザイナー | 35 | 398 |
獣医師 | 36.2 | 553 | 塾講師 | 35.6 | 361 |
薬剤師 | 39.1 | 532 | 販売店員 | 38.3 | 323 |
社会保険労務士 | 45 | 529 | 娯楽施設店員 | 34.9 | 323 |
看護師 | 38 | 472 | ボイラー工 | 52.7 | 318 |
自動車販売 | 36.2 | 472 | 保育士 | 34.7 | 309 |
製鋼工 | 37.4 | 441 | タクシー | 58.3 | 297 |
PG | 32.3 | 431 | ホームヘルパー | 44.7 | 289 |
- (厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より)
ITエンジニアは比較的年収の高い職種なので、転職で年収交渉をする際は、職種の特徴もしっかりと把握しておくことが大切です。
そもそも平均年収って妥当なの?実態に近いのは中央値
サラリーマンの平均年収は441万円ですが、実はこれ、実態近い値とは言い難いのです。というのもそもそも平均とは、少数の高年収の人たちが大幅に平均値を引き上げる為、庶民感覚からかけ離れている事実があります。本当の実態に近いのは「中央値」の方で、日本のサラリーマン年収の「中央値」は360万円です。多くの日本人は360万円近辺の年収なので、ITエンジニアが高給取りであることは間違いないといえます。
ではITエンジニアの年収中央値がいくらなのかも知りたいところですが、残念ながらこちらの資料を集めることは出来ませんでした。ちょっとマニアックすぎましたかね。一部のスーパーエンジニアが超高年収だったりすると、平均年収を引き上げますのでSEの平均年収597万円が妥当かどうかを確認したかったのですが、データがない以上比較は出来ません。
データはないけど、ITエンジニアの年収中央値を強引に出してみました。
サラリーマン平均年収441万円で中央値が360万円。平均年収の81%
ITエンジニアの平均年収597万円の81%は、487万円となりました。
おそらく、ITエンジニアの年収は500万円位がボリュームラインと言えそうですね。
参考までに補足しておきますが、年収=手取りではありません。年収は税金や厚生年金を引かれる前の額面、手取りはそれらが引かれて手元に残ったお金を言います。たまに、自分の手取りと平均年収を比較して落ち込む人がいますがそれは間違いです。ちなみに、交通費は年収に含めません。税金の対象外科目です。参考までに。
まとめ
・日本のサラリーマンの平均年収は441万円。中央値は360万円。
・転職で年収UPを勝ち取るためには、平均年収を把握すべき。(世代・職種)
・システムエンジニアの平均年収は597万円。プログラマは431万円。
・ITエンジニアは高級取りなので、もっと誇りをもって頑張ろう!
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