今回は、先週ぼくのコラムに寄せられたコメントへのアンサーコラムとなります。
以下、コメントを引用。(ウサギとカメの寓話でウサギが取るべき強者の戦略)
次週は『ウサギや亀でない第三者の戦略』が聞きたいです。ウサギに便乗する…亀に協力して恩を売る…その勝負を観客に見せて放映権を獲得する…色々と考えられますが、勝ち逃げ先生的な第三者の立ち居振る舞いの戦略があれば、ぜひ、お伺いしたいな~と思いました。
ウサギとカメの寓話でウサギが取るべき強者の戦略
というわけで、第三者の戦略をお話する事になったのですが、ぼくの持論(結論)を申し上げますと、この一連の話に第三者なんてものは存在しません。勝者であるウサギ以外は全員弱者のカメさんです。2位であろうが最下位であろうが同義です。日本一高い山は誰もが知っていますが、2番目に高い山を知っているのは、かなりの地理マニアだけです。日本一低い山の方が有名かもしれませんね。2位以下が同義であるとはそういう意味です。
カメが取るべき弱者の戦略でも語りましたが、その領域にウサギがいるなら、ウサギのいない領域に逃げる事をお伝えしました。該当のコラムに「永遠の2番手としてもがき苦しんでいたと思います。」と明記してあるとおり、このコラムでは自分が1位になれる領域を開拓する事を示唆しています。どんなに小さな領域でも良いのでその領域を見つけて、そこに旗を立てるのが弱者の戦略です。
大山(だいせん)という山をご存知でしょうか?標高1729mと、富士山の半分にも満たない高さの山ですが、中国地方で一番高い山として地元では愛されています。日本では何番目の高さなのか数える気にもなりませんが、中国地方では他を寄せ付けないほど圧倒的な存在感のある山なのです。カメが目指すべきはこういう領域です。
現実的なITエンジニアの世界に置き換えてみましょうか。プログラミングスキルで社内1番になるのでさえもなかなか大変ですが、現場業務に1番精通しているエンジニアとか、財務に1番強いエンジニアとか、領域を狭めればその中で1番になりやすいです。年代縛りもありです。プログラミングスキルで社内1番になれなくても、20代で1番なら価値はあります。社内で1番の方はもうじき管理職になって現場を離れていくことでしょう。独自の世界観で良いので、その領域で1番手になれるウサギを目指しましょう。
意外と難しいWIN-WINな関係
ついでにWIN-WINの関係にも触れておきます。両者にとって有益な関係というきれいな意味合いの言葉ですが、じつはそんなに単純な話ではありません。両者のメリットが高精度に均衡の取れた状態でないと成立しません。例えば、ブラック企業の経営者と従業員との関係はWIN-WINなのでしょうか?まぁその答えは人それぞれでしょうが、ぼくはWIN-LOSEだと思います。両者のメリットに均衡が取れていません。ようするに、いつまでもカメに甘んじていると搾取されるだけです。WIN-WINの世界の中では、カメに用事はありません。
誤解がないように言っておきますが、排他的になれと言っているのではありません。手を取り合う事は大切ですが、そこに至る前にやっておくことが山ほどあると言っているのです。いずれにせよ、カメのままだとWIN-WINの関係に持ち込むことは出来ません。外的要因に依存するか、相手に搾取されてしまうかのどちらかです。どちらもプロとは呼べません。
さて、随分と前置きが長くなりましたが、誰にでも1番になれる領域は必ずあります。狭くてもいいから、まずはその領域を見つける。努力してその領域を少しずつ広げていく。時には自分の強さと釣り合うライバルとWIN-WINの関係を築き、影響力を少しずつ広げていく。あとはその繰り返しです(ウサギの戦略)。というわけで、ぼくの持論には第三者は存在しません。自分と自分以外の二者のみが存在する世界であって、まずは自分自身に主体的であるべきだと思ってます。
最後になりましたが頂いたコメントへの回答としましては、ウサギに便乗するのも、亀に協力して恩を売るのも、とても良い案だと思いますし、どちらを選択しても、また両方を選択しても良いと思います。なぜならばこれらは戦術の話だからです。自分の立てた戦略を遂行できる戦術であれば、色々やってみれば良いです。ただし前述の通り、WIN-WINの関係構築には高度なスキルが必要です。まずは、1.自分自身が主体的になり、2.どこの領域に旗を立てるのかをよく練り、3.自分の出来る範囲でその領域に集中する。手を取り合うのはその先の話だと思っています。
コメント