社内システムの保守は、社内SEのお仕事の中でも中心的な役割を担っています。社内SEは、新規システム開発をする稼いでいるのではなくて、会社自体の本業をサポートすることを生業としています。そして、一通りのシステム開発を終えた現代において、書類ベースでの仕事がメインだという企業は稀です。ようするに各企業、メインとなる基幹系システムがすでに稼働しており、その基幹系システムの保守こそが、社内SEに課せられた使命の一つなのです。
新規システム開発は稀
社内SEは新規にシステム開発を行えるケースは稀です。上述の通り、業務を支えるメインとなるシステムは稼働しているので、そのシステムを保守するわけですが、その保守ですら、社内SEが手足を動かすとは限りません。所属している企業の規模によりますが、多くの企業では、プログラミングはアウトソーシングしています。ようするに、現場から不具合報告や機能追加の依頼があがったら、現場にヒアリングをしたあと、アウトソーシング先に作業指示をするのがお仕事となります。「現場の想いを咀嚼して、アウトソーシング先に伝える。」それが社内SEに求められているシステム保守のお仕事です。
もちろん、簡単な不具合修正は社内SE自体が、プログラム修正をすることもあります。しかし、その部分を修正することで他の箇所に影響が出ないか?の心配をし始めると、結局アウトソーシング先に聞く必要が発生します。原理原則から言うと、社内SEが仕様の全てを把握しておかないといけないので、アウトソーシング先に尋ねることは、本来おかしなことなのですが、現実問題として、アウトソーシング依存が強すぎるので、現状の仕様はアウトソーシング先にヒアリングすることになってしまっています。
プログラムスキルが低下していく
このような状況ですので、社内SEのプログラミング能力は低下していきます。プログラミングをすることを求められているわけではないので当然です。プログラミングが大好きで、一日中パソコンとにらめっこするのが大好きなエンジニアは、社内SEには向いていません。ただし、プログラミングスキルが全く必要ないかというと、そうとは言い切れません。なぜならば、プログラミングスキルがなければ、アウトソーシング先が提示してくる見積もりの妥当性も分からなければ、納品物の品質も判断出来ないからです。社内SEは、プログラミングをする必要はないのですが、プログラミングスキルが不要とは言えないのです。むしろ、プログラミングは知っておかないとダメです。しかし、プログラミングスキルを向上させる機会が少ないので、スキルの向上や維持がむずかしいのです。
業務知識は増加していく
一方で、業務知識は増していきます。現場の担当者は社内SEに対して、「業務上の悩みをITで解決してくれる人」と認識しています。そのためには、豊富なIT知識を備えておくのは当たり前ですが、現場担当者と対等に語り合えるだけの業務知識も求められます。現場と話が出来ないと、社内SEの存在意義はありません。むしろ、社内SEには業務知識の方が求められています。
マスタ整備もある
システム稼働にはマスタファイルなるものがあります。例えば、消費税が5%から8%になったり、平成から令和になったりと、法改正に伴う大きな変更もあれば、新商品の登録や廃番商品の削除など、商品マスタの登録や削除もあります。商品登録や削除は、本来であれば業務部門がすべきお仕事なのですが、なぜか社内SEがやっている企業も多く見受けられます。というのも、業務部門との力関係は明白なので、押し付けられていると言ったほうが正しいかもしれません。業務部門よりエクセルファイルを受け取り、そのデータをシステムに登録するのです。もちろん、実際の登録作業はアウトソーシング先か派遣社員にやってもらうのですが、その管理を社内SEがやるのです。これもシステム保守と言ってしまえば、システム保守だとは思いますが、IT寄りの保守というよりも、業務よりの保守が多いです。このような状況下で、プログラミングスキルを向上させるのはかなり難しいのが現状です。
RPAなどの自動化が鍵
今後社内SEが発言権を高めていくには、まずは、誰でも出来る仕事を手離れさせていく必要があります。上述のシステム保守の場合、商品登録や削除といったマスタ整備の自動化から着手していくのが良いと思います。業務部門よりエクセルデータが来るのですから、そのデータに手を加えることなくそのまま活用出来るようにすれば、仕事量を減らせます。それが難しい場合は、エクセルデータをシステムに登録するロボット(RPA)を作るのも、今風で良いと思います。誰でも出来ることに時間を掛けることなく、ガンガン自動化する、アウトソーシング先に振っていく、やらなくても良い仕事はやらなくても済むように調整していく、この辺りがテキパキと出来る社内SEは、社内での昇進も速く、また市場にも求められる人材になり得ます。
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