人材不足が慢性化しているIT業界ですが、誰でもエンジニアとしてやっていけるほど甘い世界ではありません。人を適当に集めてきて、大した経験もないのにエンジニアと名乗らせて人材を派遣してくる会社があまりにも多い気がしています。IT業界はエンジニア不足で悩んでいるのであって、別に人手不足で悩んでいるわけではありません。とてもエンジニアとは呼べるほどのスキルもない人材をエンジニアとして売り込まれても、来る方も来られる方も不幸でしかありません。
今のIT業界では、優秀な人材に仕事が集中しています。プログラミング開発が出来るだけではなくて、マネジメントが出来たり、同時に複数のタスクをこなすことが出来るマルチなプレイヤーを求めています。そんな人材はそうそう転がっているわけがありません。そんな人材は今いる企業が逃さないからです。
ブラック企業を掴まないように気をつけようと心がけているのは求職者だけではありません。企業の方も、ハズレエンジニアを掴まないように気をつけています。ハズレエンジニアを採用しても、問題が解決しないどころか、無駄な経費だけが増えてしまい、もっと悲惨な状況になってしまう可能性があるのです。
エンジニアになるために必要な資格があるわけではないので、エンジニアへの門戸は広いと思います。しかし、IT業界で通用するエンジニアは一握りで、ハズレエンジニアが多いのも事実です。とはいえ、最初は誰もが未経験エンジニアです。いきなりハイスキルを持ち合わせているわけではありません。選ばれるエンジニアになるために、最初は未経験エンジニアでも良いのですが、ハズレエンジニアにならないようにしなければなりません。
未経験エンジニアとハズレエンジニアの違い
未経験エンジニアもハズレエンジニアもスキルが無いという点では同じです。では何が違うのか?一言でいうと、ポテンシャルの違いです。社会人経験の浅い、20代前半までくらいならば、スキルの有無は問われにくいです。プログラミング経験が乏しくても、IT業界に浸っているだけで採用される可能性はあります。
一方ハズレエンジニアは、数年のキャリアを積んでいるのにスキルがない状態のエンジニアのことです。ハズレエンジニアには大きく2つのパターンがあって、1つ目は、上昇志向のない人。2つ目は、ITエンジニアが向いていない人です。上昇志向のない人は、どの業界でも厳しいと思いますが、特にIT業界で生き抜くのは辛いです。また、ITエンジニアに向いてない人もいます。どうしてもプログラミングが出来ない人。フローチャートがかけない人。やはりそういう方は一定数でいます。いずれにせよ、その状態でスキルの無いまま20代後半を迎えると、ハズレエンジニアとしての人生が始まります。こうなるとITエンジニアとしてのキャリアアップはかなりハードルが高くなります。冒頭で紹介したように、詐欺まがいのアピールで派遣先に潜り込み、数ヶ月で契約を切られ、また潜り込みを繰り返す人生になります。その見切りをつけるのが25歳前後だと、ぼくは考えています。
エンジニア不足で猫の手も借りたいIT業界ですが、本当に猫の手のような、役にも立てないエンジニアが活躍できる世界ではありません。少し厳しいことを言いましたが、抜け出す方法もあります。1つは上昇志向を持つことです。2つ目は、「IT業界が向いてないかもしれない」と思っている程度であれば、じつは頑張ればなんとかなるということです。本当に向いてない人は、かなり早い段階で「絶対に向いてない」と言い切って辞めていきます。したがって、2つ目のパターンのハズレエンジニアは存在が稀です。そこそこ何でもこなせるけど、上昇志向の無いエンジニアがハズレエンジニア予備軍です。ズルズルと20代後半になり、30代になり、後輩に抜かれても悔しくもないエンジニアは、ハズレエンジニア同士のレッドオーシャンでの戦いが待ち受けているのです。逆に、未経験エンジニア状態から、一定のスキルを身につけたエンジニアに待ち受けているのはブルーオーシャンです。スキルをつければつけるほど、海の色は青色になっていく世界が、IT業界なのです。
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