IT業界にメンタル不調が多い根本理由

処世術 IT業界

この業界で何年も働いていると、メンタル不調で休職する方にたくさん出会います。その事が原因で退職される方も多く見てきました。同じ業界で働く者としてとても悲しい気持ちになります。仕事量が多いとか、納期が厳しいとか、勤務時間外の障害対応など、理由を挙げればいくらでも出てきますし、そのどれもが原因になりうることばかりです。ただしそれはどの職種にでも当てはまる理由であって、IT業界が特別なことではない気がします。というわけで今回は、もっと根本理由について深堀りしていきたいと思います。

ぼくが考えている、「IT業界にメンタル不調が多い根本理由」は、「人から感謝されることが極端に少ないから」だと思ってます。システムは動いて当たり前、出来て当たり前という前提条件が世間に植え付けられてしまっている為、感謝されにくいのだと感じています。それどころか、仕様が膨らんでも予算は増えず、開始時期が遅れても納期は変わりません。人員を削られても何の補填も無く、万が一納期遅延でも起こした日には、鬼の首を取ったかのように叩かれます。システム停止でもさせてしまった日には、それはもう目も当てられません。我々はこんな理不尽な世界を生きているのです。メンタル保つほうが難しい話です。

予期せずシステムが停止した日は、昼夜問わず電話が鳴り響きます。休日もお構いなしです。なぜならば、システムは常に動いて当たり前だと思われているからです。休日や夜間対応は当番制になっているかと思いますが、実際に障害対応した時間のみ手当がもらえるのであって、待機時間中の手当もきちんとフォローしている企業は、かなりホワイトな会社だと思います。休日当番の待機時間中に精神が穏やかでいられないことは、その経験者ならば誰でもわかると思います。しかしこの事が感謝されることはありません。

少し仮定の話をします。もしも障害復旧をした事で子供の命が助かったとして、その子の両親から涙目で感謝されたとしたら、障害復旧を頑張って良かったと心の底から感じる事が出来るのではないでしょうか?人は感謝に触れれば頑張れるのです。しかし我々が主戦場としている現場には、なぜか感謝がありません。頑張って障害復旧させたところで元の状態に戻しただけなので、非難されることはあっても感謝されることはありません。ネチネチと叱られた後に待っているのは、答えの無い再発防止会議で晒されるだけです。

経営陣の方にお願いがあります。最前線で頑張っているITエンジニアの皆さんに、もっと労いの言葉をかけてあげて下さい。上述の通り、頑張り甲斐を感じればそれで良いのです。システムがきちんと動作するのが当たり前なのではなくて、ITエンジニアのみんなが頑張って当たり前を作り上げているのです。もうこれ以上現場の悲鳴を聞きたくありません。日本のIT産業の発展は、ITエンジニアへのリスペクトから始まるのではないでしょうか?まずは経営陣のみなさんから考え方を変えて頂く必要があると思っています。

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