IT業界は奴隷構造から脱却出来るのか?

処世術 IT業界

だいぶ緩和されてきたとは言え、SEのお仕事は今もなお3K要素をたっぷり含んでいて、まるで奴隷のように働かされています。それもそのはず。日本IT業界の構造と中世ヨーロッパの奴隷制度は限りなく似ていて、その構造を支えてきた契約形態こそが「請負契約」です。

誤解が無いように先に言っておきますが、「請負契約」そのものが悪いと言っているわけではありません。エンジニアの労働力を搾取する輩の存在や、多重派遣や偽装請負といった契約形態を悪用しやすい環境が整っていることが問題の本質です。とはいえ、「請負契約」そのものが請ける側にとって、圧倒的に不利な契約形態であることは知っておく必要があるし、歴史がそのことを証明しています。

奴隷に対して使われていた請負契約

仕事が完成しないとお金が支払われない「請負契約」は、ローマ法時代には「奴隷」に対して使われていた契約です。日本の民法は明治時代にドイツから輸入したもので、そのドイツ民法の源流はローマ法です。ローマ法時代の公共事業は、黒人奴隷を活用する為に請負契約が利用されていました。ようするに、IT土方とも称される日本IT業界の構造は、奴隷の活用が前提の契約形態によって成り立っているわけです。この契約形態で業界が成り立っているわけですから、いくらもがいたところで奴隷構造からの脱却は出来ません。

ちなみに、民法632条には、

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

とあります。きちんと仕事を完成させることが求められており、仕事が完成したと認められない場合は効力が生じません。ようするに、難癖つけられたら泣き寝入りです。これが、請け側が圧倒的に不利な契約形態と言われるゆえんです。

一方、医師や弁護士は、奴隷に対して使われていた「請負契約」ではありません。彼らは「委任契約」で任務を遂行しています。医師ならば治療行為、弁護士ならば弁護する法律行為に対して報酬を受け取ることが出来ます。行為そのものに報酬が発生するので、治療に失敗しても、裁判に負けても、きちんと報酬をもらうことが出来る便利な契約なのです。

余談ですが、本来「委任契約」は報酬を請求することが出来ないと明記されています。

民法648条

受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。

ようするに、「ほんとは、委任契約では報酬を受け取ることは出来ないよ」と言っています。中世のヨーロッパでは、お金を受け取る行為は奴隷がする卑しい行為とみなされ、上流階級者は無償でやりとりすべきとの考え方が強く根付いていたからです。しかし、現在はこれを特別法で上書きすることで、報酬の受領を可能としています。まぁ早い話が特権です。

「請負契約」請けたら負けよ

言葉遊びではありませんが、請負契約は請けた時点で負け確定です。請けた側が圧倒的不利な、まさに奴隷契約なのです。しかし、そうせざるを得ない業界の構造が出来上がっているのでそこから抜け出すのは困難です。IT業界なんて出来て高々数十年、いつかは構造が変わるかも…と淡い期待をするのはやめたほうがよいです。なぜならば、紀元前から請負という奴隷のための仕組みが存在し、それをいまさら切り崩すことなんて出来ません。さらに、この構造であることの方が都合が良いと思える輩がいる以上、現代版の奴隷制度がなくなることはありません。上述していますが、「請負契約」自体が悪いのではなくて、それを都合よく利用する輩の存在こそが、この問題の本質です。まぁいずれにせよ、いまさらどうにもなりません。

現状を打破する秘策はないが

残念ながら、IT業界全体が奴隷構造から抜け出す秘策は思いつきませんが、強いて言うなら、個人レベルなら脱却が見込めます。請負契約ではなくて、準委任契約の形態に持ち込めるかが、奴隷構造から脱却する鍵となります。経営視点を身につけて、業務委託契約のITコンサルに転身するか、高単価の準委任契約に持ち込めるフリーランサーになるか、それらの法的やりくりが上手な外資系企業に勤務するか、そのあたりになろうかと思います。IT業界全体を奴隷構造から開放させる根本的な解決には程遠いですが、いずれにせよ奴隷構造から脱却するには、希少価値の高いハイスキルな人材になる必要があります。もしそうでないなら、簡単には脱却出来ない仕組みになっているようです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました