「仕事」をしていると思うと憂鬱な気分になりますが、「ゲーム」をしていると思うとワクワクするものです。「仕事」と聞くと、なんとなくやらされ感のあるネガティブワードですが、「ビジネスゲーム」に表現を置き換えてやると、ポジティブな気持ちになるのはぼくだけですかね?
仕事だってゲームの一種です。ゲームである以上、そこにはルールがあります。絶対に守らないといけないルールがあります。例えば、納期厳守とか守秘義務などです。これらのルールを守らなければ、イエローカードや場合によってはレッドカードを喰らってしまいます。
一方で、ゲームを有利にすすめる手法も存在します。いわゆる攻略法です。ルールとは違い、絶対に守らなければならないものではありません。しかし、攻略法を知っているのと、知らないのとでは、ゲームの達成スピードや難易度が大きく変わります。要するに、ゲームを有利に進めることができるわけです。今回はビジネスゲームの最も基本的な、定石とも言える攻略法の一つを紹介します。
「質」より「スピード」を優先にすべき理由
「質」と「スピード」。この二つのコトバ、基本的には相反しています。「質」と「スピード」は対義語ではありませんが、一般的に、質を追求すると時間がかかってしまいますし、スピードを追求すると、質が低下してしまいます。もちろん、短期間で高品質が実現できればそれが一番良いのですが、なかなか簡単にはいきません。そうなると、どちらかを優先させる必要があるわけですが、ビジネスゲームの攻略法としては「スピード」を優先させるのが正解だと言えます。
「質」は相対的ですが、「時間」には絶対軸があります。「質」は相対的にしか判断出来ませんので、人によって評価の基準が曖昧です。他のサービスよりも不具合が少ないとか、前回よりも品質が良いとか、新入社員の割にはよく出来たものを作っている。など、評価の基準が「他のなにか」との比較になるわけです。そしてその「他のなにか」は、評価する人の立場や経験によっても変わってきます。
判断基準がステークホルダーによって異なり、必ずしも自分自身の判断基準と同じだとは限りません。逆に、判断基準が異なることのほうが多いものです。そもそも判断基準が統一されていないのに、高得点を追求すること自体が、非常に非効率な仕事のやり方なのです。
一方、「時間」には絶対軸があるので、評価の基準が明確です。「時間」という、最初から他人と共通のものさしを共有出来ているので、シンプルに早ければ早いほど高評価になります。「質」の追求のように、独りよがりという事になりにくいわけです。
「スピード」が評価されるもう一つの理由
仕事が早いほうが評価されるのには、もう一つ理由があります。それは、関係者同士で異なる完成品の「質」の基準を明確にすることができるからです。社会では学生時代と違い、明確な正解や不正解で判断できるケースはほとんどなく、関係者みんなで正解を作り上げていくものです。独りよがりの正解を追求して、後の工程で手直しが発生するよりも、少しでも早く関係者に途中経過を報告して、何度も軌道修正をしていくやり方のほうが評価されます。
例えば上司から仕事を任された場合、上司と部下との間に、100%意思疎通が出来ている可能性はまずありません。そこで役に立つのが完成品ではない状態の試作品です。求められているであろう完成品の20%や30%程度の出来でも構わないので、さっさと仕上げて途中報告をするのです。試作品が、上司の求めているものと方向性があっていれば、そのまま質を高めれば良いし、求めているものと異なっていた場合、その時点で修正出来ます。もし独りよがりの判断で完成品まで作り進めてしまっていた場合、そこからの軌道修正には、納期を延長するなどの取り返しのつかないロスとなります。試作品として途中報告することで、こういったリスクを回避出来ます。
また、試作品を作るメリットとして、とりあえずで出したはずの試作品を、完成品として受け取ってくれる可能性もあります。例えば、上司自身もさらにその上司から仕事の依頼を受けていた場合、部下からもらった試作品を加工して仕上げて完了させることだってあります。この場合、きれいに清書された完成品だと逆に扱いが不便です。部下が清書に仕上げた時間だけでなく、上司が再加工する時間の両方が無駄になります。多くの仕事がパラレルで行われている為、こういった背景を伝えきれないまま仕事を依頼するケースなんて頻繁にあります。このような事態に陥らないようにするためにも、「質」よりも「スピード」を重視する考え方が大切なのです。
「完璧を求めずにさっさと人に見てもらう」「悩みは抱え込まずに他人と共有する」。突発的なことが起きた時ほど、深く考え込まずにたたみかけるようにアウトプットしていくのが、ビジネスゲームで勝利する攻略法だといえるのです。
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