「戦略」と聞いて多くの人は、戦いに勝利するための方策(計略・作戦)と認識していると思います。もちろんその意味合いであっています。国語辞典にもそう書いてあるので間違いではありません。「戦略」とはもともと戦争用語であり、自分の資源と相手の資源を比較して、効率よく戦いに勝つために色々な作戦を練られていたことが「戦略」の起源だと言われています。
しかし、国語辞典に書いてある通りに「戦略」の意味を受け取ってしまったのでは、策士が策に溺れてしまう危険性があります。今回は、戦いに勝利するために練る戦略ではなく、それよりももっと前の段階で考慮すべき、戦略のキホンのキについてお伝えします。
戦略のキホンのキ
古代より人間の歴史は戦争の歴史となっていますが、戦場で一番大切なことは「生き残る」ことです。もちろん生き残るために、時には戦いを仕掛けて勝ち残る必要もありますが、戦略の基本は「逃げ」です。高確率で「生き残る」には「勝利」することよりも「逃げ」です。食物連鎖の世界でも、ライオン以外の全ての動物は、迷わず「逃げ」を選びます。時にはライオンですら「逃げ」を選択することがあります。
そもそも「戦略」とは文字通り、「戦いを省略する」と書きます。いかに無駄な戦いを省略して、戦場に生き残り続けるのかが何よりも重要になってきます。ようするに、戦わなくても済む方法を練ることが、「戦略のキホンのキ」です。戦わずして利益を得る戦略を練るのが一流のやることです。
どうしても戦わなければならない局面も発生します。逃げられないと判断した時にはじめて、相手に勝つための作戦を発動させるのです。いきなり相手に勝つための作戦を発動させるのは二流の戦略家のお仕事なのです。
もちろん、経済戦争でも同じです。「稼ぐエンジニアは知っている!経営者の頭の中身」でも紹介しましたが、経営者の唯一のお仕事は、会社を存続させることです。存続させるために他企業と戦わざるを得ないケースもありますが、戦わずして生き残ることが出来るのであれば、そちらの方が有益な戦略です。レッドオーシャンで勝ち続ける戦略を練るよりも、ブルーオーシャンを見つける戦略の方が上手だというわけです。
レッドオーシャンで勝ち続けることは、スリリングで爽快なことなのかもしれませんが、ライバルが多い市場で勝負するということは、敵も味方も疲弊します。また、高い確率で勝ち続けたものの、一度の負けがきっかけで会社に大ダメージを与えてしてしまうことだってあります。たった一度の負けが死に直結するような戦いなんてしてはいけません。
戦略と戦術のちがい
一方、「戦術」は、戦略を遂行するために、全ての術を投じるのが「戦術」です。戦略が決まったのであれば、どんな術を使ってでも、戦略を遂行させる必要があります。したがって、「戦術」がきれいにハマっても、「戦略」が誤っていれば負け戦です。局地戦で勝利を収めたところで、本丸がやられたのであれば無意味です。ようするに、戦術と違い、戦略の失敗は命取りになると言いたいのです。
ふざけた名前とふざけたアイコンの真の意味
少し話はそれますが、ぼくは「勝ち逃げ先生」というペンネームで執筆活動をしています。イメージアイコンも非常口によく見られるふざけた感じに仕上がっています。しかしこれにはきちんとした理由があって、ぼく自身が「戦略のキホンのキ」を忘れないためのシンボルとして活用しているのです。繰り返しになりますが、戦略のキホンのキは「逃げ」です。戦略を謳っているコラムニストが戦略のキホンのキを忘れないようにするために、戒めの意味を込めてつけているのです。
稼ぐエンジニア戦略の基本路線
今流行のプログラム言語を勉強して、ITエンジニアとしての活動の幅を広げていきたいという考え方自体は否定しませんが、今流行っているということは、レッドオーシャンになりやすい危険性も含んでいます。エンジニアが飽和状態にあると、待ち受けているのは価格競争です。その世界では、生きるのも死ぬのも地獄です。一昔前に流行ったけど今は寂れたプログラム言語なんかは、ライバルが少なくて案外狙い目だったりもします。もちろん、プログラム言語に限った話ではありません。ライバルが少なくて、旨味のあるポジションを狙い、市場で生き残り続けることが正しい戦略です。盲目的にプログラム言語学習を始めるのではなくて、「戦略のキホンのキ」を抑えた戦略を練った上で、エンジニアとしての設計図を描くことをおすすめしたいのです。
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