社内SEの実態のお話をしよう2 ヘルプデスク編

処世術 IT業界

じつは、当サイトで一番アクセスの多い記事は、「社内SEの実態のお話をしよう」という記事で、「もう少し深堀してほしい」と言った内容のメッセージが寄せられるようになりました。コンテンツを提供している者として、こういったメッセージを頂けるのは非常にありがたいことです。せっかくサラリーマン人生の半分以上は社内SEとして費やしてきたのですから、今後はもう少し深堀をして、社内SEの実態をシリーズ化していきたいと考えています。

というのも、社内SEというお仕事は多岐に渡ります。誤解を恐れずに言うと、会社のなんでも屋です。コスト部門という事もあって、社内ヒエラルキーの最底辺に位置づけられていますので、何でもやらないと生き残れないのです。ようするに、社内SEのお仕事を全て説明しようと思うと、どうしても1記事には収まらないわけです。ざっと挙げるだけでも、ヘルプデスク、システム保守、システム起案、ベンダーコントロール、社内イベント運営、その他雑用。。。などなど、ITのお仕事とは全く関係のないお仕事もたくさんあるわけです。「社内SEの実態のお話をしよう」ではさわりの部分しかお伝えできませんでしたが、今回はもう少し深堀をしていきます。

ちなみに、頂いたメッセージから察するに、若い女性の方だと思っているのですが、自身は社内SEというものの、ヘルプデスク担当だから面白くないといった内容でしたので、今回はヘルプデスク・コールセンター編をまとめてみました。

ヘルプデスク・コールセンター編

社内SEをやっていくうえで、割と大きなウエイトを占めているお仕事の中に、ヘルプデスクがあります。一言でヘルプデスクというのは簡単ですが、ヘルプデスクも細分化していくとたくさんあります。例えば、顧客が利用する社外に展開しているシステムのコールセンターは、何よりもプライオリティが高いわけです。問い合わせの多くは、よくあるQAと重複しているので、「ホームページのよくあるQAを読んで下さい」と言いたいところなのですが、それが言えない力関係があります。嫌な顔をせずに丁寧に応答するスキルがヘルプデスク担当には求められます。

男女不平等を語るつもりはありませんが、この仕事は女性の方が向いています。電話をしてくる顧客は、システム的なトラブルを抱えてますので、多少なりともイライラしています。時間的猶予がない場合は尚更です。そういう時は、親身に寄り添ってくれる女性の声は、安心感を与えるのだと思います。

システム開発担当との連携

大半の問い合わせはヘルプデスク内で解決できますが、システム開発担当ではないと解決できない問題もあります。特に、バージョンアップした直後は、不備や不具合の問い合わせが多くなります。そういった場合は、システム開発担当との連携が必要になります。ようするに、顧客とシステム開発担当との橋渡しをする能力が求められます。

顧客がシステムをどういう使い方をしてエラーになったのか?不具合が生じたのか?をしっかりとヒアリングをし、システム開発担当に伝えなければなりません。言葉にすると簡単ですが、これが非常に難しいのです。なぜならば、顧客はイライラしています。その状況下で、システムエラーに関して根掘り葉掘りヒアリングするのはかなりのスキルが必要です。コミュニケーション能力だけではなくて、いちユーザーとしてシステムを熟知していないと話が噛み合わずに、顧客をイライラさせるだけになります。

顧客から得られる少ない情報量を自分なりに咀嚼して、システム開発担当に分かりやすく伝える能力が求められるのです。これは誰もが出来る簡単なお仕事ではありません。しかし、あまり評価されない分野のお仕事なのです。ヘルプデスクをアウトソーシングしようとしたり、自動化を試みようとしているのですが、ぼくはこれらの行為は、企業の自殺行為だと思っています。

というのも、企業ブランドを突き詰めていくと、ヘルプデスク・コールセンターの価値に繋がると思っているからです。これは品質に由来しています。「ブランド価値=品質」なのは周知の事実だと思いますが、顧客との接点となるヘルプデスクやコールセンターを、アウトソーシングしたり自動化するのは、品質の低下を招いています。ようするに、ブランド価値を下げる行為であり、それが企業の自殺行為だと言っているのです。

システムトラブルで電話をしたとして、電話先で自動音声が流れてきたら、顧客はどういう気分になるか?ほんの少しだけでも考えてみれば誰でもわかると思います。経営陣が少しでもコストカットをしたいという気持ちは理解しますが、削るのはその分野ではありません。

発言権を高める方法

一方で、ヘルプデスクやコールセンター人員も、社内で評価されないからといって、そのまま甘んじているのはよくないと思います。ヘルプデスクは現場の最前線にいます。顧客との接点です。顧客の代弁者なのです。顧客の代弁者が発言権が無いなんて、本来はおかしな話です。顧客の代弁者に耳を傾けないのであれば、それは企業の怠慢です。

ヘルプデスクが発言権を高めたければ、顧客からのクレームをまとめて、社内で問題提起をすることです。IT部門の上層部がもみ消そうとするならば、社長に直談判するべきです。上記でも述べましたが、ヘルプデスクをないがしろにする行為は、ブランド価値の毀損につながります。企業ブランド毀損に繋がる問題は、IT部門の上層部がなんとかする話ではありません。企業のトップが解決すべき問題です。

また、ITの部門だけで解決できる問題ばかりではありません。特にコールセンターは問題解決したあと、顧客と雑談をするケースもあります。その中に顧客の真の悩みが埋もれたりもしています。例えば、納期回答が遅いとか、商品の使い勝手が悪いなど、ITとは関係のない情報が入ってきます。

自分には関係ないからといって聞き逃す事も出来てしまいますが、こういった顧客の声をきちんと吸い上げ、自分なりに咀嚼し、会社の上層部に問題提起できる人材は価値が高まります。もちろん社内での発言権も高まり、仕事がやりやすくなります。

ただの伝書鳩としてしか機能しなければ、ヘルプデスクやコールセンターの価値は低いです。それだけしか機能しないのであれば、アウトソーシングや自動化で十分です。しかし、この領域は宝の山です。恵まれたポジションを活かして、会社を動かす人材を目指していくのも面白みがあると思います。いちコールセンターの発言で、役員が右往左往するのを見るのも一興だとは思います。

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