人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている
なぜ同期のあいつばかり出世していくのか?と思ったことはないでしょうか?横並びでスタートしたはずの同期との社内の出世争いも、結果を振り返れば大きな差になっています。なんであいつばかり。。。じつはこれ、運や実力はあまり関係がなくて、一言で言うと、回りの多くの人たちから「こいつはすごい」と思われていたからです。それは本当に実力があったから「すごい」と思われていたのか?それとも、実力があると周りのみんなが勝手に思っていた、いわゆる錯覚なのでしょうか?そのあたりを分かりやすく解説した書籍が、ふろむだ著の「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」です。
そもそも錯覚資産とは?
そもそも錯覚資産とは聞きなれない言葉ですが、作者のふろむださんの造語です。造語ではありますが、ものすごくポイントを抑えた秀逸な言葉だと思います。ぼく自身も、なぜ同じような実力の者同士なのに出世争いに差が出るのだろう?一方は評価されてもう一方は評価されないのだろう?評価のさほど実力差があるとは思えない。と思っていた時にこの書籍に出会いました。
錯覚資産とはその名の通り、錯覚です。勘違いです。そもそも勘違いなのですが、その勘違いを蓄積していくと資産になります。それを錯覚資産と呼んでいます。もちろん資産なので自分にとって価値があります。そしてそれは錯覚の集まりなので、自分の実力以上のスピードで膨らませることが可能です。それを作者は錯覚資産と呼んでいます。
錯覚資産の正体
もう少しわかりやすく具体例を挙げてみます。例えば、野球少年に「目標を達成するにはコツコツやるしかないんだよ」と親が言うよりも、イチローが同じセリフを言ったほうが価値があります。全く同じセリフのはずなのに、子供たちのアクションに違いが生まれます。それは、イチローの発言は凄く価値があると多くの人が錯覚をしているからです。物理的には全く同じ空気振動でしかない音声なのに、発言する人物によって受け取る側の価値がガラッと変わってしまう。これが錯覚資産の正体です。
社内の飲み会の場でも、部長の発言には説得力を感じたりします。社内会議ならばともかく、飲み会の場はみんなフラットであるはずなのに、そうとはいきません。部長を前にすると緊張したり構えたりしているうちに、周りのみんなも同じように同調し、部長の錯覚資産として形成されていきます。そのため錯覚資産が大きくなった部長の発言には説得力を感じやすくなってしまうのです。
錯覚資産のメリット
錯覚資産とは、一言でいえば、周りの人たちの勘違いです。真の実力以上に凄いと思わせることが出来てしまうのが錯覚資産のメリットです。凄い奴だと思われると大きな仕事を任されたり、昇進のチャンスが生まれます。一つ上のステージへ行くことが出来るとさらに凄い奴だと思われて、より大きな錯覚資産が形成されます。雪だるま式に錯覚資産が増えると、組織内での発言力も増し、人生は超イージーモードになります。
増加するのは錯覚資産だけではなくて、本当の実力も増えてきます。最初は錯覚資産で与えられたチャンスかもしれませんが、回数をこなしていくうちに真の実力への変わっていきます。錯覚資産が大きければ大きいほど、真の実力も大きくなっていくわけです。
錯覚資産の力を利用せずに、真の実力のみを独力で鍛えるよりも、錯覚資産を有効に活用したほうがはるかに効率よく、真の実力も手に入れることが出来る、それが錯覚資産のメリットとも言えます。
錯覚資産を増やす方法
ハロー効果を有効に活用する
ハロー効果とは、社会心理学の用語で、ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる(認知バイアス)現象のこと。 光背効果、ハローエラーともいう。 ウィキペディアより
要するに、「後光」の事です。ハロー効果の検証について、街角アンケートの実験でいい例があります。街角アンケートで通り行く人が回答してくれるか素通りするかを測定したところ、ブランド物のセーターを着た調査員がアンケートに挑んだほうが、ノンブランドのセーターを着た調査員よりも、アンケート回答率が高いという結果が出ています。
本来であれば同じ確率になるはずですが、高級ブランドの後光が発動したのでしょうね。少なからず、好影響を与えたといえます。
会社内でもハロー効果は発生しています。例えばプレゼンがめちゃくちゃ上手い奴がいたとします。彼との接点はプレゼンだけなのに、仕事もできるんじゃないかと想像してしまいます。本来プレゼンのうまさと仕事の出来・不出来は関係ありません。
もひとつ学生を例に挙げると、数学で100点を取った子がいたとします。すると英語も高得点なのではないか?と思ってしまいます。本来であれば、数学と英語は何の関連性もないので英語の点数なんて予想できないはずですが、数学が優秀だということでバイアスがかかってしまい、英語も優秀なのでは?理科も、社会もクラブ活動も優秀なのだろう。と錯覚してしまいます。
人間のこの特性を活かして、自分自身得意な武器をひとつ絞って、他に負けないレベルまで引き上げるとその領域においてハロー効果を活用することが出来始めます。プレゼンが他者より上手いと自負しているのであれば、その能力により磨きをかけて下さい。大きな「後光」を手にすることができ、錯覚資産を増やすことに貢献できます。
一つの領域で錯覚資産を増やすことが出来たら、その錯覚資産をベースにもっと大きな領域にも浸食していきます。例えば、若手社員の間で自身の錯覚資産の大きさが一歩抜きん出たとします。その資産を武器に、中堅社員レベルの発言力のある有識者とのコネクションを図るのです。取り急ぎ話す内容は世間話でも良いし、自分の方が下の立場なので、思い切ってお願い事をしてみるのもありです。業務的なお願いごとでも良いし、相談でもよいし、飲みに誘うのもありです。
若手筆頭に声掛けされて嫌がる先輩はまずいないでしょう。9割りはコネクションに成功します。こうなるとあとはオートマチックです。次は課長クラスとコネが出来、部長、社長と自分のエネルギーと相談しながら雪だるま式に資産を増やせます。このレベルまで行くと、次期幹部候補ですね。同期に敵はいません。
社内での出世を急ぎたい人、組織内での発言力を高めたい人、この記事を読んで錯覚資産に興味を持った人は是非、ふろむださん著作の「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」を一読してください。適度に図もあるので非常にわかりやすいです。
さらに、この書籍の元となった書籍があります。「ファースト&スロー」という書籍です。この本は東大生に一番読まれている本として紹介がありました。上・下と2冊構成なのでかなりのボリュームです。図解もないので難易度は高めですが、より深い知識を突き詰めたければ、「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」の次にお読み頂ければと思います。
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